時代劇と歴史の歪曲

歴史というのは歪曲されるものだ。
政権が交代するとき、新しい権力者は、
前政権の不備を大にして言うのだ。
そしてそれは、娯楽作品にも影響する。
有名な例がシェークスピアの「リチャード3世」だろう。
「時の娘」でその評価が覆ったのが1951年。
(演劇としてリチャード3世はシェークスピア作品中でも
傑作だと僕は思っている。)
水戸黄門漫遊伝は明治に作られたものらしい。
江戸時代の民は悪代官により虐げられた、
というイメージを作り上げた。
善玉としてなぜ水戸光圀か、というと
やはり、天皇を尊ぶ水戸学の創始者だからだろうか、
という気がする。
ちなみに「大岡越前」などの名奉行伝は、
東西両奉行が出世を競って、自らの名奉行ぶりを
戯作に書かせ、宣伝したところから始まるそうだ。