「日出処の天子」を読み返している。
2巻巻末には氷室冴子氏との対談だったが、
何巻だかの巻末の対談で、
「マンガはごまかしがきかない」ということを
言われてた気がするなー、と思い出した。
つまり、絵を描かなきゃいけないから、
それで時代と齟齬が生じるとツッコミが入るってことです。
キャラはどんな顔をしていても、
衣装は時代に合わなくてはいけない、
背景も描くから、家具調度、間取りその他諸々。
「風雲児たち」に「福翁自伝」をベースにした章があって
福沢諭吉と緒方洪庵の対話になっている。
諭吉が父をなくし大阪藩邸から中津に戻ったとき、
大阪と中津では子供の着物や髪型などの
風俗に違いがあったということを言っている。
それに緒方洪庵が、「どう違うか具体的に描けないから
自分たち(諭吉と洪庵)の絵でごまかしているな」と
作者に向かって言う楽屋落ちがある。
まあ、みなもと氏は衣装などの時代考証は
ほとんどせず、時代劇江戸で描いているのだが・・・
氷室冴子と組んでの平安ものが多い山内直美は
十二単の着付けを見に伊勢まで行ったというし、
「陰陽師」の岡野玲子は狩衣装束を一式入手したという。
「チェーザレ」の惣領冬実さんもずいぶん
作画に苦労しているようだし。
大変なのだろうと思う。
現代モノでも舞台を外国にすると、
また大変なのだろう。
ちなみに、着物の重ねは、初期律令成立時代は
左前だったと、読んだ気がする・・けど見つからない。