海舟と親父さんと従兄弟

「剣術の奥意に達した人は、決して人に
斬られることがないといふことは、実にそのとおりだ。
おれも昔親父からこの事を聞いて、」とある。
珍しく、剣豪らしい小吉についての話だと思った。
これが、いとこの男谷精一郎が言ったことだとしても
不思議はない。
このいとこについて、「氷川清話」では
これまで読んだ限りでは話が出ていない。
男谷精一郎は、海舟のいとことして知られるが、
血脈からいえば、父の小吉のいとこで、
伯父の養子になったので、海舟のいとこと扱われることが多い。
ちなみに、勝家の親戚というのは、海舟の母と、
「夢酔独言」にちらと出てくる祖母の他には不明。
小吉が勝家に婿養子として入ったわけだが、
養家の父母については、早くに死んだという記述しかない。
小身の旗本であるから、当主不在で家が存続するはずもなく、
養子縁組したころには、養父存命だったはずだ。
8歳くらいの頃から、養祖母が男谷の家で同居していたようなので、
その頃に、養父がなくなり、勝家当主となったのだろう。
海舟15のときに、小吉が隠居、家督相続したのだが、
それより早くに家督を相続したと思われる。
男谷精一郎と海舟の仲というのはよく分からない。
剣術について、よその師匠についた理由も気になる。
精一郎と小吉が不仲であったという話も聞かないのだが・・・