月と暁

たそがれ。
誰そ彼、とも書く。
招婿婚の時代、夜が更けると男たちが
想う女性のもとへ通う。
暗がりに見える、その誰が私の恋人だろうか。
そしてまた、夜明けと共に帰っていく。
かはたれ。
夜明けを象徴するもの、有明の月など
逢瀬の終わり、恋人との別離を意味する。

夏の夜はまだ宵ながら明けぬるを雲のいづこに月宿るらむ

ただ夏の風情を詠んだだけと見るけれど
深読みしようと思えばできる。
そんなところもまた面白い。