略歴でいうと、長崎伝習所、オランダ留学、函館戦争大将、
恩赦のち明治政府に出仕、だろうか。
明治維新のとき、新政府側にはイギリスがついて、
フランスが幕府を後押ししていた。
明治維新は英仏の代理戦争だったわけだ。
それをやって無事ですんだ国を他に知らない、、
けど、どうなんだろう?
函館戦争ののちに、明治政府に出仕したことについては、
ずいぶんと白い目で見られたようだ。
福沢諭吉なんかも「やせ我慢の説」とやらで批判してるが。
勝などが、「切腹していたら大変なヒーローになっていただろう」
と言っているが、真意がどこにあるかは。
榎本の恩赦や出仕を働きかけたのは勝なのだし。
ともかくも、今とは違って、武士道の生きていた時代だし、
榎本本人も武士として育てられている。
幕末なんかに、みんなぽこぽこと切腹しているけれど、
そういう常識で育てられたのだ。
「生き恥晒して」だの、「切腹しろ」だのと
聞こえよがしに言う人もいただろうし、
面と向かって罵倒した人も多かろう。
「風雲児たち」でジョン万次郎について
「並の神経ならリストカットするような状況」という表現があったが、
まったくそのようであったのじゃないだろうか?
それは余程腹を切ったほうが楽であっただろうと思う。
そうしなかったのは、
この時節、海軍が必須であること、
海軍を育てるには時間がかかること、
全般に人材不足で旧幕臣がいないと明治政府も立ち行かぬこと。
なんじゃないかと思う。
日本という国、そういう概念は少なくとも江戸時代消えていた。
それが出てきたのは、幕末だ。
日本人が一枚岩になって、西洋から国土を守らねばならぬ、
そういう意識が出てき始めた頃、なのだと思う。
そのことに気づいた一人だったのだろう。